読了【推し燃ゆ】
生きづらさを抱えた少女の話
文章自体は長くないから1、2時間くらいで読み終われる。
"推し燃ゆ"とはあるけれど、メインは推しが炎上したということよりも、少女の生きづらさを描くことだと思った。
〜〜〜〜〜
勉強についていけない。
漢字が覚えられない。
どうしようもない生きづらさを抱えた少女。
人並みに勉強できる姉。
「私だって頑張っている」
そう、姉に言うと彼女は泣いて怒った。
生き甲斐は"推し"だった。
まるで推すことが自らの使命だというように
指針であり、基準であり、目的だった。
「頑張ること」が出来るのは推すことだけだった。
推すことは自分が生きていると証明することであり、人間として生命活動を行っていると実感できる唯一の行為に思えた。
推しは私の背骨だった。
私を形成している芯は、推しだった。
〜〜〜〜〜
なんというか、
どうにもならない生きづらさを
どうしようもなく生きづらい世界に向けて叫んだ作品のように思えた。
反響すらせず、その叫び声はただ群衆に飲まれ、消えていくけれど、
ただその叫んだ事実は残ってほしい。
吐いた血反吐を自らの手の平に残すような、
そんなドロドロとした血生臭さを感じた。
クラスメイトとの繋がり
先生との繋がり、学校との繋がり
バイト先との繋がり、
家族との繋がり、推しとの繋がり。
そういった繋がり、というか縁、みたいなものを
徐々に切り離していく様に見えた。
遠い場所から徐々に、糸を切っていくように。
最後に残ったのは自分だけで、
最後のシーンではその「どうしようもない自分」を、
「どうしようもない自分」のままに受け入れられたのだろうか。
失った背骨に変わる背骨は自らで用意するしかない。
自分の芯になるものは自らで形成しないといけない、そう思った。
読みやすかったです。
おすすめ。
こじま